特殊で特別な何か

マイマイ新子と千年の魔法』が唯一無二な作品なのは分かっています。ですが公開宣伝会議でも言われていたとおり、良い映画があったとしてその映画を伝える方法が絶対的に欠如しています。テレビで紹介される映画は、その系列が出資していたり、新聞の夕刊の映画評はそこそこ参考になるものの絶対的に文字数が足らず、映画雑誌に関しては読んでいる人が限定される。そういった現状の中で傑作や佳作が埋もれていく例は枚挙に暇がありません。たとえば『マイマイ新子』を強く推す人は『ユンカース・カム・ヒア』や『アリーテ姫』を観ているのでしょうか。
今ロードショウ中の『マイマイ新子』は当然大事です。でも私にとってはこれらの作品と過ごしてきた日々も同じように大事です。ですから、もし『マイマイ新子』を色々な面で支えようと思っている方がいらっしゃるのなら、比較的に入手の可能な『アリーテ姫』や『ユンカース』や『アイアンジャイアント』なども視野にいれ、週末にでも観ては如何でしょう。


それとついこないだ2007年公開の『クローンは故郷をめざす』を映画館で観ました。監督の中嶋莞爾さんは公開時にヒットしないこの作品を担いで全国の映画祭を回り、やっとDVDのレンタル開始が決まったので東京にもどって最終上映を行ったとのことでした。

http://clone-homeland.com/
とても優れた作品で、私はこの映画が下高井戸で上映されるまで知らなかったのを恥ずかしく感じました。監督は下高井戸の上映の時のトークショウで次のようなことを仰っています。
「ガッチリと観客の心に食い込む映画を作りたい」
「昨今の映画は文化ではなく情報である」
「ライブではなく、残る作品にしたい」
これは『マイマイ新子と千年の魔法』に通じるのではないでしょうか。『クローンは故郷をめざす』は3年目の2月5からやっとレンタルが開始されたそうです。

でも私は特殊で特別な何かを欲しているわけではありません。自分の感性に合う映画が身近にあって欲しいだけです。そういういった世界を求めるのは贅沢なのかもしれないな、と心のどこかでは思っていますが…。


ではまた。